書斎 〜参〜

□エスカペイドI
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「――まったく、あなたたちも少しは引き所を弁えなさい。あんなに多額のお金が動いていたという事は、それだけトラブルの危険性も有ったということなのですよ?」

「はい…マクゴナガル校長」

「…仰る通りです」



神妙な面持ちで校長の前に立つシリウスとリチャード。

マクゴナガルは苛立たしげに、机上へ置かれた書類をとんとん指で叩いた。



「残らず寄付へ回すのは感心すべきことだと分かっていますよ。しかし、『今年は募金額が多いんですね、素晴らしいことです』と言われるたびに、どれだけ私が居たたまれない思いをしているか。
まさか事実を言うわけにもいきませんし…。
そして、ブラック。ポッターはどうしたんですか?」

「昨日から胃の調子がおかしいらしくて…」

「ジロンドは?」

「昨日から腹の具合がおかしいらしくて…」



こちらも居たたまれなさに小さくなっていたシリウスが、ふと顔を上げた。



「そういや、先生。何だかんだ言いながらも俺たちの突拍子もない計画を取り締まったりしないの、何でですか?」

「愚問ですね。そんなことをするのは、あなた方生徒達の自主性を損なうことに繋がりかねません」

「…う、先生眩しい!」

「教育者としての後光が差して見える…!」

「はいはい、反省したら出ていって構いませんよ。というか退室して下さい」



いつもなら、もう2、3分は説教がくるはずなのに、珍しい事態である。

リチャードが尋ねた。



「校長、これから誰かお客さんですか?」

「えぇ…。何でも、警察の方が話を聞きたいと」


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