書斎 〜参〜

□エスカペイドH
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見つめ合った両者は、互いに一歩も引かなかった。

持ち手を握り締める手には力が籠もり、ぶつかる視線は熱が籠もる。

校庭の真ん中。

真剣な表情。

まずは、ジェームズが口を開く。



「シリウス、後悔してないかい?」

「ああ。むしろ気力が沸々と湧いてくるな」

「そう、それは良かった」

「てめえも男だ、負けても吠え面かくなよ?」

「君こそね」



2人はニヤリと笑った。

シリウスの手にあったある物が、空へと舞い上がる。



「いざ!」

「尋常に!」

「「勝負!!」」



舞い上がったシャトルは、しっかりラケットに捉えられた。

シリウスのラケットが唸りをあげて、ジェームズ側へシャトルを飛ばす。

するとジェームズの目がキラリと光り、正確無比なラケットさばきでシャトルは返される。



「やるなぁ、ジェームズ!」

「シリウスこそね、なかなか苦戦させてくれるじゃないか」

「何を。まだまだ余裕、だろう?」

「もちろん。これくらいで僕に勝てるなんて、思ってないだろ?」



うっすら額に光る汗。

鋭い風切り音。

観客の首は交互に打ち返されるシャトルを追い、左右にゆったりと動いていた。
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