書斎 〜参〜
□エスカペイドF
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長い話を聞き終えて、シリウスは一つ、重いため息を吐いた。
「ルシウス、ルーピン先生の元カノが入院してるのは何処だって?」
「それを知ってどうする」
「決まってんだろ、一発殴りに行く」
半ば本気で拳を固める。
ちらっ、とルシウスは甥の顔を見やってこう言った。
「ポッター、先に一発殴っとけ」
「了解です」
「え、ちょ、ちょい待て――うぎゃっ!!!」
容赦ない一発を食らい、シリウスは額を押さえて悶える。
痛みが落ち着いてから、彼は涙目で訴えた。
「何すんだよー」
「馬鹿か、お前は」
「あん?」
「お前が何かしでかすことが、回り回ってルーピンを追い詰めるかも分からないんだぞ?」
「分かってんよ!冗談だ冗談、マジでするわけねぇだろ!?」
「いや、今のうちに釘を刺しておく方が得策かと思ってな」
「てんめえ……!」
そんな友人を「どうどう」と宥め、ジェームズがシリウスを座らせる。
苛立つ様子を隠せないシリウスは、噛み付くように問いかけた。