書斎 〜参〜

□エスカペイドD
1ページ/9ページ

 
ルシウスの自宅では、なかなか戻ってこないリーマスにシリウスがやきもきしていた。


「遅い…そんなに遠い所へ行ってるはずねぇのに」

「確かにな、妙に時間を食い過ぎている」


と、ルシウスの携帯が鳴った。


「悪い。――もしもし、何だ?リオン」

『やぁルシウス。ちょっと困ったことになったよ』

「ルーピンに何か?」

『ご明察。今、ルーピン君と警察が1人接触したみたいだ。外にパトカーが停まっている』

「警察?よくもまぁ、次から次へと都合の悪いことがやってくるもんだ」

『君たちを守りたいから手伝うけどね、そろそろまずいんじゃない?』

「そうだな、覚悟しといてくれ」

『…助けて下さい、だろ?口に気を付けなさい、愚弟め』

「分かりました兄上殿。ではさっさと仕事に戻ってくださいませ」


ブチッと通話を切ったが、3人からの怪訝そうな視線を遮断することはできなかった。


「先生に、何かあったんですか?」

「聞きたいか?」

「んなこと言って、またはぐらかすつもりだろ」


シリウスの言葉に、ルシウスはゆっくり首を振る。


「そうも言ってられん。オレが勝手に話すのは憚られるが、知っておいた方がいいだろう」

「何をですか?」

「5年前、オレたちがまだ一介の大学生だった頃の話だ――」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ