書斎 〜参〜
□エスカペイドD
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ルシウスの自宅では、なかなか戻ってこないリーマスにシリウスがやきもきしていた。
「遅い…そんなに遠い所へ行ってるはずねぇのに」
「確かにな、妙に時間を食い過ぎている」
と、ルシウスの携帯が鳴った。
「悪い。――もしもし、何だ?リオン」
『やぁルシウス。ちょっと困ったことになったよ』
「ルーピンに何か?」
『ご明察。今、ルーピン君と警察が1人接触したみたいだ。外にパトカーが停まっている』
「警察?よくもまぁ、次から次へと都合の悪いことがやってくるもんだ」
『君たちを守りたいから手伝うけどね、そろそろまずいんじゃない?』
「そうだな、覚悟しといてくれ」
『…助けて下さい、だろ?口に気を付けなさい、愚弟め』
「分かりました兄上殿。ではさっさと仕事に戻ってくださいませ」
ブチッと通話を切ったが、3人からの怪訝そうな視線を遮断することはできなかった。
「先生に、何かあったんですか?」
「聞きたいか?」
「んなこと言って、またはぐらかすつもりだろ」
シリウスの言葉に、ルシウスはゆっくり首を振る。
「そうも言ってられん。オレが勝手に話すのは憚られるが、知っておいた方がいいだろう」
「何をですか?」
「5年前、オレたちがまだ一介の大学生だった頃の話だ――」