書斎 〜参〜
□エスカペイドC
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「シリウス、マルフォイ先生の家まで知ってるんだ」
「まぁな」
「この辺って、シリウスのお母さんの実家があるのよね」
「そうそう」
3人は今、シリウスの母親からの頼まれ物をルシウスに届けにやってきていた。
「ったく、おふくろも人使いが荒い!今日は3人で出掛けるっつったのに、朝起きたら笑顔で『この前貰ったお肉、ルシウスにお裾分けしてあげてね』だぜ?
おふくろは『ちゃんと食べてるのかしらー?』とか言ってるけど、毎日どれだけ元気か逐一報告してるぞ、俺。確信犯か、あの人!」
拳を握り締めて怒るシリウスを、ジェームズが「まぁまぁ」と宥める。
「いいよいいよ、面白いじゃん、先生の家を覗けるなんて」
「そうかも知れねぇけど、出来たら卒業まで秘密にしときたかったというか…」
「何を?――あ、ここ、あたしたちが産まれた病院よね」
「ついでに言うと、シリウスのお母さんの実家だ」
彼らの目前にそびえ建つ、巨大な病院。
院長をシリウスの祖父が勤め、次期院長となる叔父もいる。
彼ら3人は、ここの産婦人科で取り上げられたのだ。
「寄っていくの?」
「寄るもなにも…ここだ」
「「……え?」」