秘要書斎

□Please be...
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「全てを叶えて死ねる人間なんて居ないと思わないか?だからさ、幾らでも我が儘になればいいよ」

「……私の我が儘は無茶ですよ…?」

「じゃあ尚更、聞かせて欲しいな」




どうしてこんなにも、彼は優しいのだろうか。

だから甘えたくなるのだ。

甘えて、困らせて、愛されたくなる。

彼は知っていたのだろうか。

そんな生温い、甘えの形を。

だとしたら、だとしても――



私は、いよいよ力を失ってきた身体を奮い立たせ、唇を動かした。





「一つ……お願いがあります…」

「うん、何?」

「いつか…再び会えたなら…、私の……最愛の人に…なって下さい…二度と、理不尽な別れに…泣くことのない……共に生きていける人生を…下さい……」

「いいよ」



軽い返事だった。

けれどもそれは、強い決意を秘めている。




「やっと、言ったな。いつもいつも他人の為の願いしか口にしてこなかったから…正直、それだけは恨んでたよ。
俺は、そんなに信用に値しないのかって」

「そういう、つもりでは……」

「真意はどうであれ、歯痒かったのは事実だ。今になって、ようやく支えになってやれるんだな」

「…貴方との約束なら…きっと叶いますね…」

「叶えるよ。だって、初めて自分のために我が儘言ってくれたんじゃないか……意地でも叶えてやるしかないだろう…!」

「ふふ、楽しみに…してます」
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