秘要書斎
□Please be...
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「ねぇ、私は今でも貴方の友人ですか?」
「ん?違うよ?」
「…!?」
「最近になって、友人なんて単語で括るのはお前に失礼な気がしてきたから」
「…はぁ……」
「敢えて言葉を選ぶなら…同志、かな?」
あぁ、何だ。
こんなに簡単なことだったのか。
悩んでいた年月が、嘘のように溶けていく。
知らず、笑みが零れた。
「ふ……あはは…いいですねぇ」
「だろ?まぁ、友達なのは考えるまでもないってことだよ」
どこか得意げに胸を反らすジョン。
「だからお前も、ウダウダ悩むのは止めろよな。そんなんで無駄に人生過ごすなんて勿体ないだろ」
「貴方が言うと、重みがありますね」
「そりゃ、俺はこの上なく人生を謳歌したから」
「ですけど……私の一生はもう――」
口にするのは憚られた。
決して“それ”を迎えるのが怖いわけではない。
ただ、まだやり残したことがあるような気がする。
やり直せることがあるような、そんな気がする。
「ねぇ、ジョン。私は欲張りですね」
「へ?何で?」
「いまわの際を前にして、なお求めることが多い」
「そういうもんだろ」
そういうものだろうか。
疑問に思うのに、ジョンが言うと納得してしまう。