秘要書斎
□Please be...
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「なぁ…ミルザム」
「はい」
「人は、どうしたって変われない生き物なんだよ」
「……そうかも知れません」
確かにそうだ。
結局、必死で断ち切ろうとした因果に捕らわれ、私たちは永遠の別れを迎えた。
そればかりか、私は息子にまでその因果を背負わせたのだ。
私は最後まで、何も変われなかった。
「こら、要らんこと考えてるだろ」
「痛っ!」
鈍い音と共に、額を叩かれる。
容赦ない一撃は思わず涙目になるほどだ。
「ちょっと、非道いじゃないですか…!」
「バーカ、そんな深刻な顔するから悪いんだ」
「い…いひゃいいひゃい!」
強ばっていた顔の筋肉を、つまんで解される。
ヒリヒリ痛む頬を、打って変わって優しい手つきでジョンが包んだ。