秘要書斎
□シオンの丘
6ページ/9ページ
「私は、ある意味では報いを受けたんでしょうねぇ。あの日から、幼いシリウスに“銀の手”を背負わせる羽目になりました」
「その、日から……っ!?」
「はい、彼に噛まれたから“銀の手”の能力を失ったのです」
淡々と話すミルザムとは裏腹に、リーマスの顔はどんどん青ざめていく。
彼は知っているからだ。
その人狼が、いったい誰なのかを。
「ま、待って下さい。ボクはその話を、マルフォイ先輩とシリウスから聞いたことがあります…」
「おや?話していましたか」
「その人は、その人狼って……ミルザムさんのご友人って……!」
「『ジョン・ルーピン』。学生の私にとって、唯一友人と呼べる相手でした」
物音一つ響かない静寂が訪れた。
ミルザムが告げたのは、他ならぬリーマスの父親の名である。
言葉を探すリーマスに、ミルザムは問い掛けた。