秘要書斎
□シオンの丘
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シリウスとリーマスの滞在は一週間に及んだ。
現在も多忙を極めているミルザムは滅多に息子たちと顔を合わせることが無かったが、リーマスは顔を合わせるたび、無意識に身構えていた。
ミルザムも気持ちが理解できるため、けして咎めはしない。
ただ笑っていた。
「あの、さ…シリウス」
「どした?」
ベッドに寝転んだリーマスが、おずおずとシリウスに話しかける。
「君の、お父さんのことなんだけどね」
「やっぱ怖い?」
「怖く、ないと思えるんだけど…」
曖昧に語尾を濁し、俯いた。
そんな彼の思いを察し、シリウスがにやりと笑ってベッドに頬杖を突く。
「平気、うちの親父なかなか図太いから」
「馬鹿シリウス!笑い事じゃないんだよ?」
「きっと向こうは分かってるさ。リーマスが、こうやって悩んでること」
優しく、優しく言葉を選ぶシリウス。
「…なぁ、リーマス。父さんは、いつも幸せそうにお前を見てる。それだけじゃ不安か?」
「……不安、だね」
真剣なリーマスの呟きをまたも笑ってしまったシリウスは、拗ねて枕に顔を埋めてしまったリーマスの機嫌を取るのに、しばし苦戦することになる。