秘要書斎
□産声 ―Voice―
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神妙な顔でうなずいた息子に、私は笑いかけた。
「きちんとホグワーツで学んできてくださいね。学問なんかではなくて、己の正義というものを」
「それ、親の言うセリフじゃないし」
おかしそうに笑った。
それが嬉しくて嬉しくて…
あぁ、何故でしょう?
こんなにも、泣きたい気持ちにさせられるのは…
きっとシリウスは、このブラック家を離れてしまうのだろう。
この子の正義は、一生私とは相容れない。
でも、それでも、
「愛していますよ」
「………はっ?」
「遠く離れても、私はあなたの父親です」
「はいはい、そんなの分かってるって」
鬱陶しそうに答える。
「なーんか父さんと話すと疲れる」
「私はシリウスと話すのが楽しみですよ?」
「質問も有耶無耶にされた気がする」
「気のせいです」
「…どうだか」
それでも一応すっきりしたのか、シリウスは部屋を出ていった。
あとに残されたのは、私。