秘要書斎

□産声 ―Voice―
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産まれたときの感想が感想だったから、シリウスを大事に育ててきた。

特に、わずか5歳にして銀の手を受け継がせてからは念入りに情操教育を施してきたつもりだ。

できるだけ苦しむことが少なくなるよう、疑念など欠片も持たせないように。



それでも、



「父さん、ちょっと話がしたいんだけどいいか?」

「えぇ、構いません。何が聞きたいんですか?」


あれは確か、ホグワーツへの入学を数日後に控えた日だった。


「あのさ、もしかしたら怒るかもしれないけど…」

「ならばあなた自身が考えたことなんでしょう。遠慮は要りません、話してみなさい」


その返答に促されたのか、シリウスは意を決して言った。


「父さんは…俺たちがやってることを正しいと思ってるか?」

「それは、人狼狩りのことですね?」

「あぁ。何か、自分が殺している相手だって立派な人間なんだと思うと、正しいことやってんのか自信が無くなる…」

「そうですか…」


危惧していたことが現実になった。

私たちの“仕事”に迷いは禁物だ。
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