秘要書斎
□最愛の友人
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大学を卒業した日、メールが入ってた。
『卒業おめでとう、ソニアちゃん!
また時間が出来たら飯食いに行こうな』
自分も卒業に歓喜しながら、とりあえず送信したんだろう。
笑いながら肩を組んできたあの日々。
温かい腕の感触がした気がして、俺は肩の方を振り返った。
卒業してから、会う機会は格段に少なくなった。
たまにメールを交わし、時たま出かけたりする。
そんな、平凡な友情を守りながら毎日過ごしていた。
俺たちは社会人になる。
少なくとも俺は、某会社に就職して忙しくなる…と思う。
今度会えるのはいつになるんだろう。
メールすら出来なくなるだろう。
4年前、軽く口にしていた「俺たちは絶対に変わんねぇよ」という言葉が、空しく蘇ってくる。
携帯を開く。
もう一度、リチャードからのメールを読む。
自然と笑みがこぼれた。
『おう、ありがとう。
リチャードもおめでとう。
早く時間作って飯食いに行こうな』
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