dream

□(4) 祭【がくえんさい】
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「改めてお願いしますぅ…弟を殺す犯人をぉ…見つけてくださいぃ…。」
予知夢だなんて半信半疑ネウロが『謎』の気配を感じたからには、殺人は起こるに違いない。
そんな私の気持ちを察したのか、美月さんは
「予知夢だなんて…信じられませんよねぇ。でももういいんです。バカバカしいと思ったら…断ってくれてかまいません…。」
そう言って寂しそうに笑った。
「そんな!信じないだなんて!世の中には不思議な事もあるものですよ!ね、先生。」
そう言うとネウロはおもむろに私の両目に指を刺した。
「うっ!」
私はすぐに目を押さえる…いったあ〜…。
その様子を見て美月さんは目をキラキラと輝かせた。
「わああ、助手さんと仲がよろしいんですねぇ〜。私もこんな職場が良いなあ〜。」
良くないです。
「でも…」
「何ですか?」
美月さんはもはや普通に壁紙の外に出てきているアカネちゃんを見て言う。
「私…あかねさんにとんでもなく失礼な事をぉ…。」
さっきの事、まだ気にしてるんだ…。
「本当にごめんなさいっ!!」
あかねちゃんに向かって勢いよく頭を下げると、さらにこう付け足した。
「さっきのお詫びに何か…いえ、何でもしますぅっ!」
『気にしないで』
「そんなぁ…それじゃあ私が納得いきませんっ!」
そう言うと、今度は私の方を向く。
わわっ。何!?
「探偵さん!あかねさんの好きなこと何か知りませんかぁっ!?」
ずいずいと迫ってくる。必死だなぁ…。
「トリートメント…かな?」
この時、美月さんの目が怪しく光ったのを私は見逃さなかった。
「トリートメント…それですよぉ!!」
すぅっと美月さんは息を深く吸う。
「買い物行って来ます!!」
「い…行ってらっしゃい…。」
猛スピードで走っていった美月さんだけど、私は聞いてしまった。
「死体を見るのには慣れてるんだけどなぁ…。」
と、彼女が呟くのを。
一体美月さんって何者なの!?
まあそれは今はおいて置こう。
「ネウロ、どう思う?予知夢の事…。」
ネウロは椅子に座り、トロイの上に足を乗せるとこう言った。
「貴様ら人間が夢を見るのはレム睡眠の間だ。これは一晩に5回ほど訪れるが、その間にかなり多くの夢を見る。しかもその中に、さらにいくつもの話題が含まれている。そして人間は夜になるたび眠る。そうして得た膨大な量のエピソードを他人に話せば、現実の出来事と似通ったものがあったとしても不思議ではない。」
「でも私、あんまり夢見ないよ?見たとしても一日に一つぐらいだし。」
「それは貴様が夢の大部分を忘れているからだ。まあ、ウジムシ並みの脳では仕方ないな。」
「じゃあ…美月さんの言っている事はそれなの?」
「…さあな。」
私はそうは思わなかった。だって…何か不思議なものを感じたから…。
「買ってきましたあぁ!!」
「うっ!?」
誰でもこの姿を見たらびっくりするだろう。
頭には安全第一のヘルメット、そしてごつごつとした鉄製の鎧(!?)を身に纏っている。それは黒々と輝いていて、手入れがしっかりされている事が分かる、が!
それでも隠し切れないへこみ、傷などが多数あり、かなり使い込んでいる事は明らかだった。
「トリートメントって言ったらまずは安全確保しないと始まりませんよぉ。ねぇ、探偵さん♪」
「トリートメントで武装!?」
何を勘違いしているの!?この人は!?
「ウフフフフぅ、アハハハハぁ…」
「目がどす黒く濁ってるっ!?」
片手に持ったエコバック(買い物で使ったのだろう)から明らかに危ない薬(ラベルにドクロマークが付いてる…)を取り出した。
「あ…あかねちゃん危ないっ!」
咄嗟に走り出して美月さんから薬品を奪おうとしたけど、彼女の方が素早かった。
何で!?鎧着てるのに!?
人間の皮を被った悪魔(私にはもはやそうゆう風にしか見えなかった)がゆっくりとビンのふたを開ける。
「あ、あかねちゃーん!!」
あかねちゃんは逃げようともがいているけれど、美月さんに掴まれて逃げられない。
「ウフフフフぅ…アハハハハぁ…。」
ゆっくりと美月さんの体が傾き、ついに倒れた。
こぼれた液体が、床の上でジュウジュウいってる。
「ネウロ!!」
倒れた美月さんの傍に、トンカチを持ったネウロが立っていた。
「軽く殴っただけだ。すぐに目が覚める。」
「良かったぁ…。」
今の美月さんから、料理中のお母さんと同じ空気を感じた。
最近の世の中って、こんな人ばっかりなのかな…。

















「ごめんなさい、あかねさん…私、トリートメント用のお薬こぼしちゃったみたいでぇ…。」
お薬って認めたよ!?この人!!
目が覚めた美月さんは、すっかり元通りになっていた。
彼女の優しそうな顔がキッと引き締まる。
「依頼の事なんですけど…現場に来てくれますかぁ?」
ネウロは私の頭を掴むと、くるっと一回転させた。
「うっ!?」
「もちろんですよ!」
「良かったぁ…。」
い…痛い…。
「それで現場とゆうのは?」
ああそれならぁ、と言いながら美月さんは自分の鞄をゴソゴソと探り出した。
一体現場ってどこなんだろう?
「これですぅ。」
そう言うと、一枚のチラシをテーブルの上に置いた。チラシ?
「神雪学園高校学園祭!?」
学園祭?学校!?

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