庭球
□君のニオイ
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家につくと岳人はなれたようすで若の部屋へと向かう。
扉を開けば前と変わらない整頓された部屋に小さく息をはく。
「向日さん。制服、いつものとこにかけといてもらえますか?俺風呂いれてきます。」
「おう、わかった。」
受け取ったブレザーをハンガーにかけ、岳人は着替え始めた。
初めから泊まる気だった岳人は私服にさっさと着替え終えると、ポスンっとベッドに腰かけた。
生真面目な彼らしい部屋。いつも一緒なのに毎回見渡してしまうのは、もはや癖と呼べるだろう。
ふと棚のいっかくに瞳がとまり、岳人はそれに近づいた。
「これ…」
丁寧に飾られたそれはネックレスで、以前岳人が若のために自作したものだった。