庭球

□君のニオイ
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ある日の部活後の部室内。
岳人は唐突に若に話し掛けた。

「なぁなぁ日吉!今日お前ん家泊まっていい?」
「いいですよ。どうせ今日は俺一人ですし。」
「まじで!?お前一人なの?」
「えぇ。向日さんが来てくれるなら二人ですが。」

それまで黙々と着替えていた若は岳人に微笑みをむけた。

「っ///行く!絶対行く!//」
「じゃあ帰りましょうか。」
「うん♪」


ぴょんぴょん跳ねながら喜ぶ岳人を見つめながら、若は穏やかな笑みを浮かべていた。
彼にしては珍しいことで、若がどれほど岳人を思っているかがよくわかった。



帰り道。若より数歩前をうれしそうに歩いていた岳人がふと振り返った。


「そういえば晩飯は?」
「俺が作ります。スーパー寄っていいですか?」
「うん!なぁ、俺からあげがいい!」
「最初からそのつもりです。」
「やった!」

若はまるで小さい子供のように喜ぶ岳人をみながら、本当に自分より年上なのかと思いながら無意識に微笑んでいた。
岳人が嬉しそうにしていると自分まで嬉しくなる。
自分らしくないと思っても、それが岳人のせいだと思うとそれもいいかと思う。


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