リクエストのやつ

□不倶戴天
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池袋には、今日も怒声が谺する。
それは勿論、堅気間にも有名な、傷んだ金髪にバーテン服にサングラスの、
俺の天敵である、平和島静雄だ。


高校に入学し知り合って早々、俺とシズちゃんは犬猿の仲になった。
俺が喧嘩を仕掛けたのが始まり。そもそも、彼に興味を抱いたからなのだけれど。
それから高校3年間、毎日のように戦争のような喧嘩を繰り広げた。

高校を卒業すれば、仲良くなれるかもね。
いつかそんな言葉を新羅が言っていた気がするが、そんなことはなく…

卒業して5年以上経った今も、俺とシズちゃんは喧嘩ばかりしている。


「まぁ、俺が根本の原因なんだけどねー…」

先刻まで散々、高校生の頃と同じ戦争じみた喧嘩を繰り広げていた臨也は、池袋をゆっくりと歩いていた。

高校を卒業する際、静雄に罪を全て擦り付けてきた。
無実が証明されて解放されたらしいが、そんなことをすれば恨まれるのは当然。
勿論のこと、仲の悪さは悪化した。

…それが目的だったのだから。


「臨也!手前まだ居やがったのか!!」

「あらら、見つかっちゃった」

わざわざ探していたのか、それとも偶然なのか、道を曲がった場所で静雄に再び遭遇してしまった。
嫌とも思っていないような声で言った臨也に、静雄は更に額に血管を浮かび上がらせ、手に持ったままの標識を槍投げの如く投げてきた。
勿論軽々と避けた臨也は、再び逃走を始める。
心底臨也を忌み嫌った声から、逃れるように。



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