15万打リクエスト
□プールサイド・ハピネス
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ふわり、と感覚が身体に戻ってくる。臨也は噎せながら、重たい瞼をゆっくりと開いた。
…と、すぐ目の前には見慣れた喧嘩相手の顔。妙な顔をする静雄の顔が見えて、臨也は固まる。
反射的にばくばくと跳ね出した胸はどうしようもない。
「な、に…」
「何、って、こっちの台詞だ」
反射的に悪態をつき、そこで服が酷く冷たいのに気がついた。
ああ、そう言えば溺れたんだっけ。…ってことは、シズちゃんが、
「助けてくれたの…?」
そう呟いた途端、静雄の顔が一瞬で真っ赤になった。
別に、普通に助けただけなら赤くなる必要も無いし、寧ろ彼なら「助けてやったんだから」など恩着せがましく言ってくるのが当たり前だろう。
不思議に思い問い詰めても、静雄は口を開かない。…嫌味紛いに、臨也は言ってやった。
「なに、疚しいことでもしたわけ?」
そう問いかけた途端、静雄の肩がぴくんと止まる。どうしたの、と問い掛けようとしたものの。
「手前が息してなかったから!!」
…え?
「…どういうこと?」
はたり、と止まった静雄の顔が、みるみるうちに赤を増していく。何で、何が、と問い掛けても、静雄は一向に口を開かない。
…しかし、予想出来てしまう辺りがどうにもしようがない。それは確かに命を救う行為だが、好意を寄せている相手にされたと考えると恥ずかしさが沸き上がってくる。
臨也は、緊張が滲む顔を隠すように苦笑を浮かべて、静雄に尋ねた。
「人工呼吸…とか?」
すると、静雄は耳まで赤くなった。
思わずぽかんとした臨也を横目に見た静雄は、頭をぐしゃぐしゃと掻き回す。そこで、静雄の制服が所々濡れているのに気がついた。
「…必死だったんだよ、仕方ねぇだろ」
「そ、う、なの?」
紅潮した顔でぱちくりとしている臨也を見た静雄は、眉間に皺を寄せながら唸るように話し出した。
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