15万打リクエスト

□My Sweet Baby!
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嗅ぎ慣れた紫煙の香りの染み付いたこの部屋は、何処か安心する。
目の前で吸われることは正直好きではないが、残り香はやはり彼を思い出すのだ。

もう、ここに来るようになって何年経っただろう。
何日から付き合っていたかすら覚えていない。互いの誕生日を覚えていれば充分だと思う。
堕落しているとでも思われるだろうか?
否、そんなことはない。現に今、彼の家にいるのだから。

――こうして、彼に押し倒された状態で。

「本当に、獣って言うか何て言うか」

「ハッ、手前に言われたくねぇな。誘ったのは臨也だろ?」

静雄の声に、臨也はニヤリと笑って見せる。
静雄の肌蹴たカッターシャツに手を伸ばし最後のひとつのボタンを外せば、その下の肌が露になった。

「誘ったなんて人聞きの悪い。欲求不満なシズちゃんが手を出しやすいようにしてあげたまでだよ」

そう言って静雄の首に腕を回せば、甘い唇が降ってきた。


いつから付き合っていたかなどは覚えていない。ただ、彼と性交を重ねた回数は数えようもなく、同じように喧嘩した回数も膨大だ。
女なら記念日やら何やらと言うのだろうが、そんなこともない。自分たちにしてみれば、酷くちゃちなことにすぎないのだ。恋人同士という事実に変わりはないのだから。
静雄のことが好き。愛している。それは変わらない真実なのだから。
きっと、静雄が臨也を愛しているのと同じように。



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