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□WARM
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成人男性に比べれば身長はあるものの、静雄や友人の門田たちがそれより更に上を行くせいで、臨也は毎度小さく見られがちだ。
可哀想だとは思うが、少し小さいくらいが可愛い…と思うのが本音。
「我慢しろよ」
「頭ぼんやりしてくるから嫌なんだよ」
仕方なく暖房を消してやれば、満足したのか歩いて来ると、静雄と向かい側に腰を下ろした。
もぞもぞ、と臨也の足がコタツに入り込み、遠慮なく静雄の足を押してくる。
思わず引くも、臨也は静雄のことなど全く気にしていないようで、まったりと口を開く。
「やっぱり良いねぇ、コタツ」
…そして冒頭に至るのだけれど。
足を引っ込めた静雄を不審に思ったのか、臨也は容赦なく足を伸ばしてくる。
「…止めろって」
「シズちゃんの足冷たい」
否、冷たい、じゃなくて。
微妙な顔をする静雄に、臨也は小さく首を傾げ、それから笑った。
バレたのか、とひやひやしたのだが。
「冷たいから俺の足に当たらないようにしてくれてるの?」
「え、…ああ、」
「そんな遠慮いらないのに」
そう言って唇を尖らせた臨也。
その小憎たらしくも愛らしい仕草に、触れた爪先から逃れようと更に身を引いた。
実際は、そんな馬鹿みたいに良い奴じみた理由では無いのだ。
ふとこんなことを思わなければ、足なんて引きすらしなかった。
『臨也の足が当たって悶々する。』そんな理由なのだから。
中学生の敏感な年頃でも、今時こんなに純粋ではない。
それなのに、大の大人の自分がこんな状態など、尚更知られるわけにもいかない。
3年前の俺、どうしてもう少し大きなコタツを買っておかなかったんだ。
そんなアホみたいな後悔をしていれば、あまりにも臨也の足を避ける静雄に機嫌を損ねたのか、臨也はコタツに潜り込む勢いで足を伸ばしてきた。
わ、と思わず声を上げれば、臨也はにんまり笑う。
「シズちゃんのくせに」
「意味分からねぇ!っ、手前!」
こんな気分では蹴り返すことすらままならず、でも寒さでコタツから出ることも出来ず、静雄はコタツから出ないようにしながら必死に臨也の足から逃げる。
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