15万打リクエスト

□WARM
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「やっぱり良いねぇ、コタツ」

臨也のまったりした声に、静雄は臨也をちらりと見てから、伸ばしていた足を引っ込めた。


今日の最高気温は5度。最低気温に至っては氷点下。
昨日振った雨が乾ききることがないままその冷気に晒され、今朝からアスファルトに氷を張っていた。
そんな中、昼過ぎから雪まで降り出し。
この雪は明日の朝積もりそうだ、と思いながら、仕事を終えた静雄はモノトーンのバーテン服を白一色に染めながら家に帰った。
そして底冷えした身体を風呂で温めて、暖房をつけてコタツに潜った時。

ピンポーン

玄関のインターホンが来客を告げる。
誰だ、こんな雪の日に。家賃ならちゃんと納めたし、仕事も今日の分はちゃんと終わらせた。
面倒臭いという空気を滲ませながら寒い廊下に出て、もっと寒い外への扉を開ければ。

「シズちゃん、避難させて」

黒いジャケット、漆黒の髪に真っ白な雪を積もらせた臨也が立っていた。
みすぼらしい程の状態に、静雄は呆れすら滲ませながら臨也を見る。

「手前、家まで距離あるんだから、コンビニで傘買えば良いだろ、びったびたじゃねぇか」

「行ったとこ売り切れてたから、どうせならシズちゃんの家行って避難しようって思ってね。
恋人を家にあげれないくらい心狭いの?シズちゃんどうせ家綺麗なんだし」

耳から頬、鼻の頭まで真っ赤にした臨也は、当たり前の如くそう言った。
馬鹿だな、と思いながら、びしょびしょの髪に残る雪を払ってやって、ジャケットを脱がせるとそのまま湯の残っている風呂に入れさせてやり。
寒い廊下で再び身体を冷やしながらジャケットに付いた固まりかけた雪を払ってやり、ズボンがびしょびしょだったため高校時代穿いていたズボンを用意し、穿いていたズボンを乾かしてやろうと再びリビングに戻ってハンガーに掛ける。
どこの良妻だよ、と自分で自分につっこみながら、ようやくコタツに入った。
温まっていた身体は、外から帰ってきて直ぐよりはましなものの足先やら指先やらが既に冷えている。
なんて傍迷惑な奴だ、と毒づきたくなりながら、でもそんな傍迷惑な奴を恋人にしたのも自分だと思い返せば何にも言えない。
溜め息と共に苦笑を溢しながら、脚を伸ばせば。

「俺、暖房嫌い」

風呂から上がってきた臨也の第一声。
思わず眉をしかめて振り返れば、臨也は素直に静雄の用意したズボンを穿いていた。
少しはサイズが合うように高校1年の頃に穿いていた私服のズボンを用意したのだが、やはり裾が余っている。


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