15万打リクエスト

□甘色結び
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臨也は俺のもの。俺も臨也のもの。
でも、臨也は俺だけのものではない。
臨也を必要とする人間は沢山いるのだ。俺を必要とする人間なんかよりも、よっぽど。
そして、臨也は眉目秀麗。その美貌に惹かれている輩も、少なくない。

だから、心配なのだ。
男であれ女であれ、臨也に特別な感情を抱く輩がいないとも限らないのだ。
それは、共通の友人である門田や新羅も然り。
臨也は渡したくない。離したくない。
常に隣で、自分が彼氏だと主張したいくらいで。
でも、互いの生活もあるのだからそんなことは言っていられない。
勿論、傍にいないと臨也が裏切るなどと思っているわけではないのだ。

思っていない。けれど。


臨也の肩を引き寄せて、抱き締めて。
恥ずかしそうに静雄を見上げた臨也の耳元で、小さく囁く。

「…手前は俺のものだ」

「はいはい、そんなに心配しなくたっていいのに。
…俺はシズちゃんにしか、恋愛感情なんか抱いてないからさ」

笑顔と共に照れたように紡がれた声。
可愛らしいその台詞に、溢れるような愛しさとともに臨也を強く抱き締める。
それでも不安なのは、好きだからだ。
愛すせば愛するほど、離れていくことが不安になるのは、きっと仕方のないことなのだけれど。



帰宅してから、臨也は心配性な恋人を思い出して小さく笑みを溢した。
こんなに愛してもらえているのは、素直に嬉しい。
でも。

「心配しすぎ…」

確かに、もし静雄が自分以外の誰かを好きになる想像をすれば、不安になる。
渡したくない。離したくない。そう思う。
でも、シズちゃんはやっぱり大袈裟だ。
わざわざ俺が、恥ずかしさを堪えてシズちゃんのモノだと言っているのに。

「シズちゃんのものなのは、嘘じゃないのにな…」

安心するなら、独占してくれればいいと思う。
でも情報屋としては正直なところ困るから、必ずしも良いとは言えないのだけれど。




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