15万打リクエスト

□熱い夏には、
2ページ/6ページ


と、ひやり、と手の甲に冷たい感触がした。
無意識にカップを握り潰していたらしい。無惨な形になったカップから、苺味のピンク色の溶けかけたアイスがぽたぽたと垂れ落ちていた。

「やべ…っ」

「何してるの、シズちゃん」

馬鹿にしたように言った臨也に、手前のせいだと唸ってやりたくなりながら、手に伝ったアイスが勿体なくなり、舐めだした。
――すると、今度は臨也が顔を赤らめだす。
何かと思えば、眉根をよせた臨也は低く言った。

「なんか、シズちゃんえろい…」

「は!?」

思わず吹き出しそうになる。
何を言っているんだ、と突っ込みたくなりながらも、確かに自分もエロいだの何だの考えていたのだから何も言えまい。
ベタベタのままの手も嫌で、再び舐めようとした時だった。

臨也が突然、コーンの部分ばかりになったアイスを静雄に押し付けてきた。
何のつもりだ、と思い押し付け返そうとしたものの、食べててよ、と臨也が呟くように言う。
そして、その唇は零れたアイスを持つ静雄の手に触れた。

「…な!?」

「俺が舐める」

そう言った臨也の顔は赤く、開いた唇は僅かに震えていて。
ぺろり、とその舌が静雄の指を舐めた。ざらりとした舌の感触に、下半身に熱が集まりだす。
指と指との間、付け根を舐められると、腹の奥に疼きが走った。

「手前…誘ってんのか?」

ちらり、と此方を上目に見上げる臨也に、ようやく気がついた。
普段高飛車な彼が何の気なしにこんなことをするとも思えない。馬鹿じゃん、アイスもまともに食べれないの?と罵られるのが普通だ。
臨也は、数度瞬きをし。

「…遅い」

不貞腐れたように紡がれた声に、静雄は思わず苦笑を溢しながら、ひしゃげたカップとコーンを机の上に置くと、綺麗にアイスの舐めとられた手で臨也を押し倒した。
僅かに緊張したような顔。その唇へ、自らの唇を重ねる。

「は…ん…、はぁ、む……んぅ…」

絡んだ唾液が、くちゅりと水音を響かせる。
その熱い吐息を感じながら、静雄は唇を甘噛みし、小さい舌を溶け合うように絡め。
唇を離し、顎、耳、首筋、と唇を滑らせて、その白い首筋へ赤い花を咲かせた。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ