15万打リクエスト

□しかしそこには道があり、
2ページ/5ページ



…でも、その次の日の昼休みだった。

「シズちゃん…?」

臨也は思わず素頓狂な声を漏らした。
他の二人も驚いているのも無理はない。

ここ半月、一度も昼休みに顔を見せなかった静雄が、唐突に現れた。
その手には、一番見慣れた購買のパンとイチゴ牛乳。
3人の様子に僅かに戸惑いつつも、静雄は頭を掻きながら言った。

「…別れた。」

ぽつんと紡がれた声は、臨也が心の底で待ち望んでいた言葉。
どうして、と問い掛けた門田に、静雄は不貞腐れて、どうだっていいだろ、と返す。
臨也は何も言えないまま。
二人はずっと仲良くしていたと思っていたのに。
シズちゃんが振ったのだろうか。だとしたら、好きじゃ無くなったのだろうか。
…否、元々告白してきたのは女の方らしいし、付き合ってみるか、という程度で付き合っていたのかもしれない。
嬉しい、なんて不謹慎だ。けど、それは嘘じゃない。

シズちゃんが戻ってきたお陰か、減っていた食欲が戻った。
単純だな、とは思うけれど、それだけ好きなんだ、と一人思う。我ながら気持ち悪い。

そして同じように、いつもの喧嘩騒ぎが戻ってきた。



次の日の昼休み。
門田と新羅は先生に呼ばれて、屋上に来るのが遅れた。
二人だと喧嘩しそうだと心配しながらも、臨也は静雄と二人きりで屋上にいた。
…そう言えば、昼休みにこの場所で二人きりになるのは初めてな気がする。そう思うと、何だか落ち着かない。

「…ドタチンたち、まだかな」

「そのうち来るだろ」

「…そうだね……。」

何も会話が無いのも落ち着かず話そうとするも、静雄がろくな返事を返してこないせいで会話が続かない。
仕方ない、彼はこういう奴だ。喧嘩しないだけ幸せ。
黙っているか、と思い――ふと、気になっていたことを思い出した。

シズちゃんから断ったのだ。地雷を踏まない程度の詮索なら、喧嘩も起こりにくいはず。
――勿論、静雄が付き合ったことについて。
緊張しながらも、臨也は静雄に問い掛けた。

「ねぇシズちゃん、
どうして、別れたの?」

…すると、静雄は僅かに驚いたように臨也に眼を向けた。
しかし、すぐに逸らされる。

「…手前には、関係ねぇだろ」

「……」

その通りの言葉に、臨也は押し黙る。拒否が出来ない。話したくないことを話させれば、それこそ喧嘩になりかねない。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ