15万打リクエスト

□愛し方
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「はぁ…ん、あっ、あ!」

臨也の内壁を絡め、蹂躙する静雄の硬く熱い杭は、慣らされた臨也の秘所を押し広げて、律動を繰り返す。
強い快楽に堪えられず、踵でシーツを蹴りあげて、静雄の肩にしがみついた。

…すると、静雄の歯が臨也の首筋に突き立てられる。
ずきん、と痛みが走り、肌を唾液だか血だかが流れる感覚がした。
いつも、いつも、静雄は臨也に噛みつく。まるで、マーキングをする犬みたいに。
…いや、そうならいい。興奮から噛みつかれるだけ、なんて、思いたくない。

「た、い、いたい…」

ぼろ、と涙が溢れた。
ズキズキ。ジンジン。容赦なく突き上げられ、秘所や身体中の関節や噛まれた跡、其処ら中が痛む。

何で、セックスするの?

泣きたくもないのに、涙が溢れた。
元々、自分は喧嘩相手でしか無かったのだ。身体だけでも愛されるなら、それ以上望むのは贅沢すぎる。

何にしろ、俺から告白したところで理解してもらえるはずがない。
嘘ばかりを吐き出す唇は、感情を含めた真実を紡ぐことを知らぬうちに忘れていた。
どうせ、はめようとしてるんだろ、と、警戒されて終わりなのだ。
言葉しかできない。でも、言葉は意味がない。
だから、喘ぐだけ。

「あっ、や!そん、なっ、ぁ、イク…っ」

「出せ…っ」

ぐちゅ、と生々しい音と共に、静雄の怒張が奥まで突き上げられた。
高い声が勝手に上がり、せりあがる感覚に身体を跳ねさせて。

「ひっ、あああっ…」

吐き出した臨也は、震えながら啜り泣くような呼吸を繰り返した。
…そんな時ふと、視界の端に手が映り込む。
その手の行き先を見ようとしたものの、臨也の頭あたりで触れることなく、ぴた、と止まった。

「…シズちゃん?」

その手は?
問いかけようとしたけれど、まるで疲れを知らない獣のような静雄が再び腰を揺さぶりだし、結局叶わなかった。

『所詮、自分は彼の性欲処理道具。』
知っているから落ち着いていて、分かっているから辛い。
噛まれた痕よりも、弄ばれた身体よりも、胸が痛かった。


事後、臨也はシャワーを借り身体を流した後、明日の仕事のために帰る準備をしていた。
いつも何も言葉を交わさずに出ていくこの時間。満たされたはずなのに何処か空っぽな時間。
不意に、普段全く口を開かない静雄が口を開いた。


「…もう、やめだ」


「――は?」

意味が理解できず、臨也は振り返る。
静雄は苛立たしげな表情を浮かべた顔で、吸った煙草を灰皿に擦り付けながら再び口を開いた。

「こんなセックス、したくねぇ」

ズキリ、と激しい痛みが胸を突き刺した。
激情が押し寄せてきたけれど、ぐっと堪えて。ここで泣きでもすれば、きっと喧嘩相手という繋がりすらも断つことになってしまう。

「――わかった」

苦しい。苦しくて堪らない。
溢れそうになった涙を悟られないように俯くと、静雄へ背を向けた。

静雄の家を出て、数歩。堪えていた涙は、ぼろりと溢れた。
一度たがが外れれば押さえられなくなり、後から後から溢れてくる。

元は、彼から仕掛けてきた。
飽きたのだろうか。物足りなくなったのだろうか。怒ったのだろうか。愛しい人ができたのだろうか。

痛みを催しながら、確かに自分の中で欠かしたくない関係になっていたことに気がついた。


***
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