15万打リクエスト

□恋々依存
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「あのさ…毎日毎日、よく飽きないね」

臨也の呆れ返った声に静雄は怒るでもなく拗ねるでもなく、
「うるせぇ」と呟いて、臨也の背から腰に回した腕を強くした。

俺とシズちゃんは、同棲している。
話せば長くなるからその辺はカットするけれど、男女の関係に置き換えれば結婚したに等しいのだと思う。
そんな俺とシズちゃんの日課は、俺が仕事に向かおうとするとそれより出るのが遅いシズちゃんに引き留められる、と言うことだ。
…そして今も、玄関でその状況に遭遇している。

勿論、呆れはするが嫌では無いから、臨也も振りほどけないで照れるだけ。
こうなると5分は離してくれない。静雄も特に何を話すと言うわけでもないから、臨也は今日のスケジュールを頭の中で確認しつつ解放を待つ。
そこで、そういえば、と思い出し、臨也は背中から耳元にかかる静雄の呼吸を気にしつつも声をかけた。

「今日はちょっと行きたいところがあって帰り遅くなるから、先にご飯食べてていいよ」

――すると、え、と納得いかないと言いたげな声が発された。

「何処行くんだよ」

「ちょっと情報収集に」

「どうして」

どうして、って。勿論、仕事としても、趣味としても。
その腕を剥がそうとするが、静雄は力を緩めようとしない。寧ろ、強くなるばかりで苦しくなってくる。
遅くに帰るのがそんなに気に食わないのか、と苦笑を溢す。
愛されている証しには違いないのだが、幾らなんでも俺ごときに執着し過ぎなのだ。

「シズちゃん、行かなきゃ波江さんに文句言われるからさ。彼女鍵持ってないんだよね」

宥めるように言えば、静雄の顔がしかめられたのが顔が見えずとも容易に想像がついた。

「手前はその女の方が俺より大事なのかよ」

「そうじゃなくて…待たせたら失礼だろ?彼女気難しいから、少しでも待たせたら帰られそうだし…
それに、シズちゃんは俺に執着しすぎだよ、依存症じゃないんだから」

苦笑と共にそう言えば、静雄は黙り込んだ。それと同時に、腕が緩まる。
怒らせただろうか、と思ったものの…
それも、束の間だった。

ぐるり、と身体が突然回転する。
わ、と思わず声を漏らす間にも景色は回り、背中にあったはずだった静雄の顔が目の前に来ていた。
それを確認した瞬間、

「ふぅっ…ぅ…んン……」

唇が重なり、開いた口に舌が入り込んだ。
噛みつくような口づけに、一瞬で身体の力を奪われる。彼のキスは、まるで犯されているかのような錯覚すら覚えるほどに気持ちが良い。
くちゅり、ぴちゃり、
わざと音をさせているのでは、と言うほどに艶かしい音が唇の隙間から漏れ、臨也の羞恥を掻き立てる。

「シズ、ちゃ…ん、んぅ…っ、はぁ…ふ……」

舌から溶けるような感覚すらして、腰がふらついた。
それを支えるようにして伸びた静雄の腕は、そのまま臨也を壁まで連れていき、その細い背を押し付ける。


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