15万打リクエスト

□コイビト
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「あ、そういえば、運び屋に頼みたいものあるんだよね」

臨也のふとした声に、デートがてら、運び屋をするセルティに仕事を頼みに、彼女の住む新羅の家に行くことになった。

そう。デート。
いわゆる、臨也と静雄は恋人同士。
普段の喧嘩はじゃれあい…というには大規模だが、その喧嘩により気まずくなることはない。
…確かに、喧嘩相手だし、男同士だし、普通のその関係とは違うのだろうけど。

池袋まで電車で行き、そこから新羅の家まで、二人で歩く。
バーテン服とサングラスとして有名な静雄も、喧嘩をしていなければ一般人と変わらない。
二人で手を繋いで、歩いていると。

「臨也と、静雄…?」

半信半疑。顔を見ずともそんな色が滲み出ているその声に、二人は振り返った。
見慣れた姿に、臨也はにこりと笑う。
嫌に幸せそうな笑顔に門田はたじろぐも、状況を把握したのか、まだ僅かに臆しながらも二人に話しかけた。

「悪かったな、デート中に声かけて」

門田の苦笑混じりの声に、臨也は笑いながら首を横に振る。
…こうして静雄と仲良くしてるのを見られることは、確かに少し恥ずかしい。けれど、同時に嬉しさが湧くのも事実。

「良いよ別に。ドタチンだもん」

はにかみ笑いを溢し、ね、と静雄を見上げれば。
静雄の顔には僅かに不機嫌が滲んでいた。
何か怒らせることを言っただろうか、と思うが、勿論そんな覚えは無い。一瞬前までは、普通に会話していたわけだし。
…まさか。

「あーれー、イザイザとシズちゃんじゃん!
え、なに、なになになに!?手繋いでるって、どういうこと!?キャッキャウフフ!?」

「え、ちょっと…どういうことッスか!?
まさか、狩沢さんの妄想が具現化!?それとも実は僕たちが二次元に知らぬ間に迷い込んだとか!?」

片手に「とらのあな」書かれた本屋の袋、もう片手に青い袋を抱えた二人組が、マシンガンも顔負けなほど矢継ぎ早に問い掛けてきた。
こんな話題に限って、唇は真実も虚偽も吐き出せず、どもってしまう。
助けを求めて、ちらりと静雄を見上げると。


「俺たち、付き合ってるんだよ」


きっぱりと言われた静雄の言葉に、不覚にもときめいてしまった。
やっぱりかっこいい、なんて思ってしまう自分も何だかな…。
違う意味で発狂する狩沢と遊馬崎を放って、静雄はずかずかと歩を進めはじめた。
門田に手を振る臨也に対し、静雄は眉根を寄せたまま、再び新羅の家に向かい出す。
…ふ、と先刻気になったことを、問い掛けた。

「ねぇ、シズちゃん」

「あ?」

「やきもち?」

臨也の言葉に、静雄はあからさまに顔を背けた。
その様子に思わず笑みを溢せば、赤ら顔の静雄に睨まれる。

「なんだよ、ノミ蟲が」

「いや?シズちゃんは分かりやすいな、って」

ふふ、と照れながら、未だに睨む静雄へ笑みを溢した。



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