15万打リクエスト

□キスから始めて
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「お邪魔しまぁす」

臨也は形だけに等しくそう言うと、我が物顔で静雄の家に入った。
それに対して、静雄も何か言うわけでもない。
ハンガーに上着を掛けた臨也は、慣れたように静雄の座るベッドの隣に腰掛けた。


付き合い始めて数ヵ月。
勿論、臨也と静雄が、だ。

とは言っても、外で喧嘩仲なのは相変わらず。
二人きりにならないと、恋人らしい雰囲気にならない。

別に路上パフォーマンスでは無いのだけれど、会ったら喧嘩、という癖はどうやらいつまで経っても抜けないらしい。
最初から恋人同士というのを意識して会えば、流石に喧嘩はしないけれど。


そして、今回は後者。
臨也は静雄の自宅に、恋人として遊びに来た。

「シズちゃんさぁ、喧嘩は癖だから仕方ないけど、標識引っこ抜くのは止めなよ。
今日速度オーバーでかなりの台数が警察に捕まってたよ」

「んなの、法定速度守ればいい話だろ」

「確かにそうだけどね、標識抜くことがまず非常識なんだよ、分かってる?」

側から見れば、到底恋人同士の会話には見えないけれど、
明らかに喧嘩になりそうな押収を、何も武器もなく、怒りすら見せずにいる静雄は、知り合いからすれば驚愕に値するかもしれない。と、臨也は思う。
二人の秘密みたいで嬉しい、なんていうのは秘密だけれど。


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