15万打リクエスト
□Your Love Is Mine,
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臨也と静雄は付き合っている。
知り合ってから長い付き合いになるが、甘い関係になったのはつい半月前。
思えば、長い両片想いだった。
「シズちゃん!」
「ん?…臨也か」
後ろから呼び止めれば、静雄は振り返った。
仕事終わりなのか、隣にドレッドヘアーの姿はない。
臨也は静雄に歩み寄り、歩幅を合わせてくれる静雄と並んで歩き出した。
「手前、なんでこんな時間にここにいるんだ?」
ふと問いかけてきた静雄に、僅かに迷いながら答える。
「ちょっと、仕事で」
最近池袋によく姿を現すのは、勿論静雄の存在もあるが、粟楠会との約束も多い。
そこに疚しい意味も無いし、静雄と会うかもしれないということも楽しみの一つだ。
静雄は僅かに眉をひそめた。
どうしたの、と問いかければ、自分より目線一つ分小さい臨也を横目に見やる。
「仕事って、何処にだ」
その言葉に、臨也は静雄を視線だけ見上げた。
疑われているのだろうか。それはそれで面白いが、それほど信頼されてないということなのだろうか…。
「粟楠会に仕事だよ。ていうか、シズちゃんになんでそんなこと話さなきゃならないの」
もっと信じてくれればいいのに。そんな言葉は隠して、臨也は言った。
静雄は納得いかなさそうに視線を爪先に落とし、それから何も言わなくなる。
…仕方ないじゃないか、俺は情報を扱う仕事なのだ。シズちゃんを巻き込むつもりはない。
その沈黙を切り替えるために、臨也は明るく言った。
「明日、シズちゃんの家に遊びにいくよ、明日も用があるからさ」
明日も四木と会う約束をしている。折角だからその前に静雄と少し会おう。
「ん、ああ」
返事をした静雄の顔が僅かに明るくなったのを確認した臨也はにこりと笑うと、
帰宅するために静雄と別れて駅に向かった。
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