15万打リクエスト

□Your Love Is Mine,
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「わざわざ俺なんかをありがとうございます」

臨也は、運転席で自分を送るために車を走らせる男を見た。
確かに今は優しげな顔をしているけれど、裏の人間からすれば到底堅気には見えないその雰囲気。

「気にしないで下さい、呼び出したのはこっちなんですから」

男は、その雰囲気を漂わせたままに優しげに笑った。
学生時代から絡んでいる臨也にとっては、慣れたものなのだけれど。

「いやいや。
粟楠の幹部を足に使うなんて、畏れ多い限りです」

そう言えば、男…粟楠会の幹部である四木は、苦笑を漏らした。

四木とは、臨也が学生の頃から知り合いだ。
勿論、臨也の仕事である情報屋として。
確かにヤクザと絡むのは危ない橋を渡っているわけだが、楽しいから止められない。

そんな事を考えつつ窓の外を眺めていれば、見慣れた姿を見つけた。

黒と白のバーテン服。
それに浮くような金髪。

「ここまでで良いです」

「?、まだ池袋ですよ?」

四木はそう言いながら、道に車を寄せて止まった。
次に会う約束の確認をしてから、礼を言って車を出る。

「折原さん」

扉を閉める寸前呼ばれ、臨也はガラス越しに首を傾げた。
四木は、にこりと笑ったまま臨也に問い掛ける。

「平和島静雄ですよね、彼とはどんな関係なんですか?」

それは、明らかに全てを読んでいる声。
だから臨也は、誤魔化しもせずに口を開く。嘘を吐く必要も無いだろう。


「恋人ですよ」




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