15万打リクエスト

□kiss me!
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「シズちゃんなんか死ね!」

罵るような言葉に関わらず、半ば泣きそうな声で叫んだ臨也は、静雄の前から走り去った。
ぽかん、としたまま、静雄はどうにも出来ずに固まっていたのだけれど。

まず、始めに言っておこう。
俺とシズちゃんは、付き合っている。
勿論事実だが、俺と彼が犬猿の仲なのも事実。
やはり、罪を擦り付けられた恨みは大きいらしい。


そんな最中、訪ねてきた臨也の信者の女の一人が、言った。

『一昨日、平和島静雄が引ったくりを退治してましたよ』

その時の臨也は、へぇ、怪物が善人ぶっちゃって、と適当に流したのだけれど。
――シズちゃんのくせに、と、彼を罵る自分が目に浮かぶ。

そうだ、池袋に行こう。
なんて、聞き覚えすらあるような軽いノリで言うと、臨也は早速池袋へ向かった。

彼を見つけたらどう扱き下ろしてやろうか、なんて考えながら、臨也は池袋を悠々と歩く。
彼みたいに「くせぇ」なんて敵を見つけることは流石に不可能だけど、情報網は自分が幾分勝っているわけだ。

携帯を開きネットに繋ぐと、臨也は掲示板で静雄の現在地をさりげなく探るように書き込んだ。
数分後に返ってきた書き込みは、予想外だった。

『平和島静雄発見なう!
ハンズの前で女の子と喋ってるよー』

…シズちゃんが、女の子と喋っている。
それは、同年代の男としてはおかしくは無いことだが、堅気からも恐れられるような彼が、どうして喋れるのだろう。
池袋に来たばかりとか、若しくは竜ヶ峰帝人のような奴なのか。
…どちらにしろ気に食わない。理由は自分でも何となく分かる。

静雄が居るであろう場所に向かいながら、更に深く問いかければ、直ぐに返答が返ってきた。

『年は近そうです
それより、あなたはどうして平和島静雄を気にしてるんですか?^^』

臨也ははたりと携帯を操作する手を止めると、直ぐに数文字打ち込み、ネット回線を遮断した。
誰にも文句は言わせない。嘘じゃないんだから。

「恋人だから」なんて。



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