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□その跡に、
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その夜。
酒に酔って、ぐっすりと寝入った臨也の横たえるベッドの隣に、サイケは座っていた。
深紅の瞳は閉ざされて、綺麗な睫毛が代わりに臨也の目元を彩っている。
通った鼻筋の下、閉ざされた唇は綺麗な赤で。
更にその下に、サイケは指を這わせた。

赤い、跡。
気になって仕方がなかった、静雄が付けたであろうキスマーク。
もう幾度も、こんな風に静雄と身体を重ねて帰ってきた臨也を出迎えた。
その度に、胸は苦しくなって、同時に口を開きたくなる。

サイケは、臨也と住んでるのに。臨也のこと、沢山知ってるのに。
ねぇ、サイケじゃだめ?
サイケは臨也の恋人にはなれないの?

わがままだとは、分かっている。
でも、臨也がサイケを子供みたいに扱うなら、いっそ子供のように駄々を捏ねて臨也から離れないようになりたい。

こんなに近くにいるのに、こんなに触れられるのに、臨也はサイケの人じゃない。

悔しさに下唇を噛み締めて、サイケはなぞったキスマークから指を離す。
代わりに、静雄が付けたキスマークの隣、臨也の首筋に唇を重ねて、自らを刻み付けた。

我が侭だよ。
ごめんね、臨也。


鼻の奥がつんとしたけれど、ぐっと堪えると、臨也の寝室を出ていった。




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