40万小説

□不器用な指を絡め、
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重なっている掌。
それだけで、分かり合った気がしていた。
お互いの心が、何処にあるかも知らないままで。

俺たちは、幼かったね。

***

「マジで!?え、でも、中学から付き合ってたよな、お前ら」

「まぁな。でも、どれだけ付き合ってても、だめだなって思ったらオシマイなんだよ。…なんつーか距離が、な」

――臨也は思わず、どきりとした。

放課後、生徒も殆どいない教室。先生に呼ばれ、一緒に帰る静雄も今ここにはいない。きっと今頃、一昨日終わった文化祭の荷物の運び出しを手伝わされているのだろう。
そんな最中、離れた席で交わされている会話に、臨也は動揺していた。
と言うのも――少なからず、図星だったからだ。

臨也と静雄は付き合い始めて半年になる。
…とは言っても、恋人らしいことと言えば、帰り道は生徒と会わない時間に手を繋いで帰ったりするくらいだ。それはそれで大きいが、だからとその間の会話に別段甘い要素が含まれているわけでもない。
別にそれが不満であるだとかを言いたいのではない。彼からの行動を求めずとも、臨也から仕掛ければいいのだし。

――何処か、遠いのだ。
体温には触れている。なのに、胸の奥は遠いと喚く。勿論、それを口に出したりはしない。
何が遠いのか、自分でも分からないから。


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