30万打小説
□花遊楽
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静雄は臨也の上で、花瓶をひっくり返した。
中の水と花が、臨也の上に落ちてくる。
腕で防ぐ間も無く、況してや水を腕で防げるはずもなく、服が水浸しになった挙句臨也の上に花が散らばった。
「ちょっと、何してるのさ!?花勿体ないし、俺まで水浸しになっただろ!!」
「今から脱ぐから問題ないだろうが」
そういう問題じゃない。そう言おうとしたものの静雄は強引に臨也の服を脱がせ、いとも容易く全裸にされてしまった。花は、まるでベッドを彩るかのようにシーツに散らばる。
水のせいで湿り気を帯びた臨也の肌。静雄は腹部から指を滑らせると、胸の蕾に指を這わせ、先端を詰った。
「っ…あ、ん…ゃ…」
途端に跳ねた臨也の身体。素直に快楽を拾い集める自分の身体が煩わしい。けれど、こうなったのも静雄に抱かれる気持ち良さを教えられたからだ。
「手前、先端弱いよな」
「煩い…んっ、ふ…」
静雄を押し退けようとするも、既に腕は力を半減させている。思うように動かず、加虐心を煽るだけになってしまう。
そのうちに下肢にまで手が滑らされた。内腿を撫でた手はまだ萎えているその場所に持っていかれ、指を這わせる。
しかし、指で撫でるだけの愛撫。ぞくりとくる感覚は幾らしようとも、それは射精に繋がるものではなく、もどかしくて堪らない。
「そんなじゃなくて…ちゃんと触れよ、馬鹿…っ」
「お願いの仕方がなって無いよな?」
「は…!?」
不意に静雄が臨也の周りに散らばる花を一輪取った。それを確かめるように花弁から茎を指でなぞると、不意にその花弁を臨也の昂りの先端に掠めた。
ひくりと身体が震える。鈍い痺れが、花弁の柔らかさに合わせて腰の奥をもぞつかせた。
しかしあまりにも穏やかすぎる愛撫に、腰は戦慄くばかりでどうしようもない。射精など程遠いし、底辺を這うような鈍い愛撫は息を上がらせて腰を揺らす程度の材料にしかならない。
「ほら、手前ので花弁、濡れてる」
「煩い…っ、花、やだ…」
「そんな言い方で言うこと聞くと思ってるのか?」
花弁は臨也の蜜に濡れ、その純真な色を眩しくすら感じさせ、花を踏みにじったような背徳感を生む。
勿論、そうさせているのは静雄だ。自分が悪いと認めるのは心底癪にさわる。
いい加減にしろ、と抵抗しようとしたものの。
「ひぁ…っ」
不意な鋭い刺激に、情けない声が零れた。花弁での愛撫だったものが茎で先端をつつかれ、今までとの差もあり余計に快楽を拾ってしまう。
くちり。耳を覆いたくなる音に静雄のシャツを握り締めれば、静雄は楽しげに臨也を見やった。
「気持ち良いか?」
「ん…やだって…ぁ、ふぁ…こんな…」
こんなものにつつかれただけで気持ちがいいなんて、恥ずかしいにも程がある。
刺激さえあれば何でも快楽に変えてしまうんじゃ、というくらいの自分の身体が煩わしい。
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