30万打小説

□煙草の味のキス
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「ゃ、あん…はっ、あぁ、ふぁ…
シズちゃん、ちょっと、ん…いきなり、そんな…、んン…」

「手前が可愛いから悪い」

当たり前だと言わんばかりにそう言い放った静雄が恨めしいやら恥ずかしいやら、誤魔化すように静雄を叩こうとしたけれど、蕾を開くかのように静雄の指が先端を詰り、臨也は静雄の髪に頭を埋めた。
ばか。そう喘ぎの合間に紡ぐのが精一杯で、情けなくて仕方がない。だからと声を押さえようとしたけれど、静雄はそんな臨也を楽しむように、熱を持つ下腹に腕を伸ばした。

「ちょ、んあ!や、まってってば…ふ、あっ、シズちゃ…」

「手前、全部一気に触られるの好きだろ?乳首だけでこんなに固くしてるくせに」

静雄は面白そうにそう言うと、臨也のズボンを片手で簡単に脱がし、下着まで下ろした。それだけで空を仰いだ自分のものが恥ずかしくて、臨也は思わず手で顔を隠す。しかし静雄はそれには何も言わず、胸元と下腹の敏感な場所を一緒に愛撫しだした。
…ああ、読まれている。そう思うけれど、どうすればこの言い様のない快楽から逃れられようか。

「あ!あぁ、や…しずちゃんん…っはっ、はぁあ!ん、やぁ…っ」

一瞬で、静雄に呑まれる。下腹と胸元を走った疼きは全身に甘く広がり、びくりと指先が痙攣した。
ただひたすらに甘い愛撫は苦手だ。もどかしくて、理性が零れてしまいそうで。
自分を保つために痛みを求めて腹部に爪を立てれば静雄は直ぐにそれに気づき、手首を掴まれ、近くに放られていたコードで頭上に纏められてしまった。

「ちょっと、シズちゃん…っ、」

「直ぐにそうやって快楽を逃がそうとするだろ。許さないからな」

不敵に笑った静雄は、再び愛撫を再開する。しかし、胸元をまさぐっていた手は移動し、臨也の奥まったその場所を撫でた。
更に煩く跳ね出した鼓動。だめ、と紡いだけれど、臨也の先走りの蜜で濡らされた指は言葉とは裏腹に簡単に埋められた。
だめだ。このままじゃ、わけが分からなくなってしまう。いやだ。
身体がぞくぞくする。息が苦しい。胸がきゅうきゅうする。頭がふわふわする。
きもちいい。それしか考えられない。

「あぁ、や…はぅ、んぅ…っア!やっ、そこ、やだぁ!あっ、や…っ」

「なんで嫌なんだよ?こんなに悦がってるくせに」

「っ、わかんなくなる、からっ、やなの、そこ…っん!ひぁ、ら、から、め…!」

ああ、もう呂律が回らない。何を言ってるか、自分でも分からない。だから嫌なのに。すぐに理性が飛んでしまうから。こんなにはしたない自分を静雄に見られるのはいたたまれない。
しかし、静雄は笑う。指を増やされ背を反らして喘ぐ臨也へ、優しく笑う。

「俺は、そうやって何もかも捨てて俺にすがる手前も好きだ」

ちゅ、と頬に触れた唇の甘さに、とくんと胸が優しく震える。
嫌だって言うのに。恥ずかしくてたまらないのに。
頬が緩んで、頷いている自分がいた。

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