30万打小説

□愛情キャパシティ
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ピンポンピンポンピンポン、と明らかに連打されたチャイム音が部屋に鳴り響く。
全く、こんな時に誰だっていうんだ。妹たちがまた戻ってきたのだろうか。普通の客なら流石にこんなことはしない。
そう思い、扉を開けに行けば。


「…シズちゃん?」

扉の外にいたのは、つい先刻まで考えていた金髪にバーテン服。静雄だ。
静雄は臨也が扉を開けるや否や、突然手を伸ばし、臨也を肩に抱えあげる。
驚いて暴れるも意味はなく、臨也はそのまま寝室まで連れていかれた。
下ろされたのはベッドの上。容易に想像がつく先の展開に、顔が熱くなる。

「ちょっと、シズちゃん、何!?」

「――この服、手前の妹どもがやったのか?」

「そう、だけど、だから何って言ってるだろ…!」


「犯る」


「はぁ!?」

妹たちとは違う意味で理解の出来ない、したくない言葉に、臨也は固まる。その内に、妹二人の策略した通り臨也の首に掛かっていたネクタイで腕を纏められてしまった。
静雄の掌がワイシャツの上から腹部を撫でる。それだけで身体に震えが走った。
それを誤魔化すように、臨也は声を荒げる。

「ふざけないでよ、大体何で来たの、こんなことするために来たわけ!?」

「まぁな」

あっさり肯定され、臨也はなす術もない。そんな臨也へ、静雄はこうなるに至った経緯を説明してくれた。

この日はたまたま新宿へ来ていた静雄の元に、突然メールが届いた。それを確認すれば、そこには白衣姿で両手足の自由を奪われた臨也の写真が添付されており。
これは行くしかない。
そう思い、静雄は臨也の家に走ってきたのだ。

「…何その、行くしかないって」

「折角、普段と違う格好してるのに、手を出しに行かないわけにはいかねぇだろ」

意味が分からない。ふざけるな、と罵っても、それが本心からではないことも見透かされている。
したくないはずがない。愛しい人と身体を交えることが、嫌なはずがないのだ。

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