30万打小説

□束縛愛。
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「愛してるって、言えよ」


思わず耳を疑った。しかし紛れもなく静雄の声だ。周りが騒がしいわけでもなく、くぐもっているわけでもない声を、どう聞き間違えようか。
途端に虚勢にも似た感情が萎む。もう一度、と聞き返したいが、口はそうは動かなかった。

「…無理」

小さな拒否。静雄は相変わらずの仏頂面の眉間に僅かに皺を増やして臨也を睨み見る。堪えられず目を逸らした。
…否、確かに、シズちゃんじゃなきゃ云々、口を滑らせたのは自分だ。…けれど。

「どうして」

「シズちゃんには、関係ない…」

「どうしたいか訊いたのは手前だ」

「その時によるって、言った」

「俺は無理なことは言ってねぇ。一言言うだけだろ」

馬鹿か、と罵ってやりたい。でも、その言葉を渋る自分も罵られるべきだ。
こいつは喧嘩相手だ。なのに何を赤面までして、視線も合わせられないで、


「……恥ずかしいから、嫌だ」


囁けば、静雄は目を丸くした。しかしその瞳は細められる。
笑顔だ。淫らな虐めの後に見ることのできる、あの綺麗な笑み。

「…なら、手前の望み通りにしてやる」

囁いた直ぐに、玩具が体内から抜かれる。ほっと息を吐いたのも束の間。
取り出された静雄の昂りは、熱を待ちわびる臨也の後孔の入り口にぴたりと当てられた。勝手に反応して、内壁からどくどくと脈を打つ。

「シズちゃん、」

「待ってやらないからな」

突き立てられた熱に、臨也はヒッと息を飲んだ。



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