30万打小説
□Peaceful Days
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寝室から二人が消えれば、残るはデリックと臨也になる。
デリックは特に臨也を起こす気はないのか、ベッドに腰かけた。
「サイケは面白いな」
「デリックも充分面白いんじゃない?二人の会話はコントみたいだよ、タラシのデリック?」
ふざけて言えば、デリックは苦笑する。
「臨也まで酷いな。津軽はサイケに過保護すぎるんだよ。多少俺が絡んだって大したことないのにな」
「良いんじゃない?愛されてるんだよ。デリックも日々也がいるだろ?」
「んー…あいつは手間がかかるよな」
笑って言ったデリックの笑みに、僅かに照れ隠しが見てとれた。
デリックと日々也は仲が良い。高飛車な日々也に振り回されるわけでもなく、思いきり振り回すわけでもなく。
甘やかして、時には意表を突かれながらも彼の高飛車な性格を楽しんでいる。
…日々也もサイケにはついていけないようだけれど。
「そんなこと言って。楽しんでるくせに」
「ん、まぁな」
微笑んだ顔はやはり花が飛ぶやらキラキラするやら。やはり何処かのホストのようだ。
――と、話をしていれば向こうの部屋から焦りの混じった泣きそうな声が聞こえてきた。
「デリック!今すぐ来い!助けろ!」
「ひびやくんのおうかんきれーい!さいけのへっどほんとこうかんしよー!」
見事に日々也もサイケの餌食になっているらしい。
へいへい、と半ば面倒臭そうな返事をしながらも楽しそうな顔をして部屋を出ていったデリックを見送り、臨也は布団に潜り込んだ。
平和だ。休日しか見られない会話も楽しい。ゆっくり眠らせてほしいけれど。
もうすっかり目が覚めているのに気がつき苦笑し、ぼんやりでもしているか、と瞼を閉ざした。
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