30万打小説

□愛慾淘汰
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風呂から上がってきた臨也は、お茶の入っていたコップが空になっているのを確認する。それからお茶を飲んだ本人を探し、その姿が寝室に在るのに気がついた。
…普段より展開は早い。それだけで、緊張か好奇心かその両方か、胸が早鐘を打ち出す。

「シズちゃん?」

呼び掛けてベッドに座る静雄の隣に座ると、その顔を見上げる。
赤く上気した頬は、媚薬の効き目をまざまざと表していた。まるで情事の最中みたいなその色に、臨也は何処か居たたまれない気持ちになる。
静雄の熱っぽい視線が、覗き込む臨也の瞳を絡めとる。外せなくなった視線。鼓動は暴れだし、臨也は口に溜まった唾液を乾いた喉に流し込んだ。

「臨也」

「ん、なに」

「…熱い」

そう呟いたかと思えば、静雄の唇が降ってきて。
それを素直に受け止めれば、直ぐに舌が差し入れられる。

「ふ…っ」

熱い。ぬらぬらと滑り艶かしく動く静雄の舌は、臨也が舌を絡め返す余地もないほど激しく口腔を蹂躙する。
くちゅ、と艶かしい音と吐息が零れ、飲めない唾液が口角から顎を伝い、彼と同じボディソープの香りの残る首筋を流れていった。

「…ん、ふ……っはぁ、あぅ…」

激しく高鳴る胸。その上に静雄の手が添えられ、臨也はびくりと震える。暴れる鼓動などばれてるに違いない。
その恥ずかしさに更に鼓動を煽られていれば、布越しに静雄の指先が突起を掠めた。おもむろに身体を揺らした臨也を、唇をようやく離した静雄はにやりと笑う。
かと思えば肩を押され、臨也はベッドに倒れ込んだ。天井を背にした静雄の顔は酷く艶かしく映って、臨也の下腹を擽る。

「何かやっただろ、手前」

「…は、濡れ衣だって――っふぁ」

静雄の筋張った指が臨也の乳首を布越しに詰る。
ひくりと身体を跳ねさせた臨也を静雄は楽しげに見ると、直ぐに服を捲りあげ、既に芯を持ち始めている飾りに唇を添えた。

「ゃ、あ…ん、…っぁ、はあ、…あ」

…早くも臨也の推測ははずれに終わるようだ。
リードを取るどころか、いつもより激しいではないか。焦らすことすらも忘れている。…否、そんな余裕も無いと言うことだろう。
舌が熱い。固くなり熟れた胸元の蕾は快楽に敏感になり、歯を立てられれば腰まで痺れが走る。
甘噛みと舐りを繰り返されれば、臨也の唇からは堪えようのない吐息がはらはらと零れた。媚薬を盛られたのは自分ではないというのに、身体は従順な程に徐々に熱を持っていく。

「シズちゃん…っ、ふぁ…もう、そこはいいからぁ…!」

脚の間にいる静雄の腰へ、おずおずと脚を擦り付ける。熱を孕んで熱くなった腰は、快楽を待ちわびて先端を湿らせていた。
静雄は、そんな臨也にニヤリと色めかしい笑みを向けると、臨也のその場所に自らの腰を擦り付けた。

「これ、か…?」

「んっ、…ぁ、ばか、そんなじゃ足んない、だろ…っ、ひぅ…」

熱い。それでいて硬い。普段よりも膨らんでいるその欲望の感触に、身体はぶるりと震え上がり、自分のものまでも疼いた。
擦り付けられる感触に居たたまれない気持ちになり、静雄の腰を止めようと胸板を押し退ける。


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