リクエスト

□仲合ファイター
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「本当に、静雄と臨也って喧嘩しない日は無いよね」

新羅の苦笑混じりの声に、
3、4限目に喧嘩をし、傷だらけの静雄と臨也は互いを睨みあった。


顔を合わせれば喧嘩ばかりの静雄と臨也。
学校の備品も壊し放題な、度を過ぎた喧嘩は、校内でも危険だと有名なほどだ。
それでも、友人の門田と新羅という二人のお陰で、二人は毎度一緒に昼食を食べる。
…常人にはその感覚が理解できないのだけれども。


「別に、俺が喧嘩したくて喧嘩してるんじゃ無いんだよ?
シズちゃんが無闇やたらと俺にキレてくるから」

「あぁ?テメエ、どの口が言ってやがる」

「は?この口だよ、そんなことも分からないの?」

再び無意味ないがみ合いを始めた二人を門田がどうにか鎮め、
唯一と言っていいほど数少ない、暴力での喧嘩の無い時間がようやく始まった。


購買で買ったパンにかじりつきながら、静雄は、次の授業はサボろうか悩んでいた。
…と。

「シズちゃん、昨日もそれ食べてなかったっけ?」

唐突な臨也の問い掛けに、静雄は自分の手元のパンを見た。
問い掛けてきた本人は、特に食べる気も無いのか、おにぎりがひとつあるだけで。
視線を向けると、臨也は静雄とパンとを交互に見て、首を傾げた。

「美味しいの?」

興味津々な様子で問い掛けてきた臨也に、静雄は取り合えずに「食うか?」と提案した。
美味しいのは本当だし、個人的に思うところ、臨也の少食は気になる。
素直に頷いた臨也は、僅かに笑うと、

静雄のパンに盛大にかぶりついた。

臨也は、まるで嫌がらせでもするかのようにパンに思い切りかぶりつき、中々の量を奪っていった。

「…テメエ……」

「ん?ふぁひ?」

少食は気になる。
気になる…が、人の親切心を踏みにじるような食べ方に、短気な静雄は簡単に頭に血が上る。

「遠慮ってものを知らねぇのか、テメエは!!」

無理矢理に口に入れたのが目に見える静雄のパンを、
ハムスターの如く頬を膨らましながら食べる臨也は、静雄を見てニコリと爽やかに笑う。


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