リクエスト

□休戦時間
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悪戯に成功した小学生のような表情を浮かべつつ口を動かす臨也へ、静雄はずかずかと歩み寄った。
呆れをその顔に滲ませた門田と新羅を気にも留めず、依然挑発的な態度を崩さない臨也の目の前に来ると、
不健康にすら見える白い肌、その僅かに赤い頬に掌を添える。

――そして、2人がいるにも関わらず、静雄は臨也へ躊躇うことなく唇を重ねた。

「んっ…ふぅ…」

驚いた臨也だったが、静雄のキスを跳ね除けはせず、わざと、その唇を僅かに開いた。
予想通り――静雄の舌は遠慮無しに臨也の唇を分け入って、その小さな舌を絡め取る。
クチュリ、と唾液の絡まる音が響き、臨也の唇から熱っぽい吐息が吐き出された。
歯列をなぞり、余すところ無く舌を絡め、臨也の口腔を這いずり回った静雄の舌。
それに酔いしれるように顔を赤く染め荒い息を吐く臨也は、触れ合う熱に背筋を震わせた。

…どれくらいそうしていただろう。
漸く唇を離した二人は荒い息を吐き出しながら、目を合わせた。
そして臨也はニヤリと笑ってみせる。

「残念だけど、玉子焼きは全部飲み込んじゃってるよ」

そう言った臨也へ、静雄は馬鹿にしたように笑みを零した。
頬に添えたままの手でその鼻をつまんでやると、臨也は「ん」と僅かに声を漏らす。

「手前が門田の弁当を食い荒らす時間が減ればそれでいいんだよ」

「なにそれ、俺に、ドタチンに甘えるなって、嫉妬?」

臨也がふざけたように問い掛けると、静雄は眉間に深く皺を寄せた。
しかしその頬はみるみるうちに赤くなる。

「あれ、図星?」

臨也の楽しそうな呟きに、静雄は明らかなくらいの態度で怒鳴った。
その、怒りよりも勢いの勝るような怒り方も、臨也に弄られる理由の1つとも知らずに。

「煩ぇ!手前だって気持ち良さげに舌絡めてきたくせに何言ってやがる!」

「誤解を生むようなこと言わないで欲しいな?
シズちゃんが口寂しいからって、煙草ばっかり吸って肺ガンになるのが可哀想だから、それを考慮して舌を絡めてあげたんだよ」

出鱈目にも程がある、というような臨也のその言葉に、静雄は勢いに任せて声を張り上げた。


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