リクエスト

□陶酔境
2ページ/7ページ


そんな中、臨也はふと問い掛けた。
…否、ふと、と言うには、今までに考えすぎていたことだったのだけれど。


「俺とシズちゃんって、何なんだろうね」


静雄は、僅かに目をきょとんとさせた。
そして、押し倒した状態のまま返す。

「喧嘩相手、だろ?」

違う、そうじゃなくて、
そういう意味じゃなくて。

「なんでこんなことするんだろうね」

「したいからだろ」

だから、そうじゃないんだよ。
俺が欲しいのは、欲しい言葉は、そんな腑抜けたものじゃなくて。

「俺って、シズちゃんの何なんだろうね」

「…だから、喧嘩相手って」

ちがう、って


「知ってるよ!!」


臨也は声を上げた。
驚いて目を丸くした静雄の襟ぐりに掴みかかって、
引っ張って、顔を寄せて、キスをして。

「…はぁ……
何か、あったのか?」

普段、自分から動かない臨也が突然キスをした事に不信感を抱いた静雄。
臨也は、そんな静雄のシャツのボタンを噛み千切ると、
静雄へ再び唇を重ね、そのボタンを静雄の口に移した。

「してよ、ねぇ、はやく」

「…分かってるよ」

静雄は、臨也の様子に疑問を抱きながらも、臨也の服をたくし上げて、行為に及んだ。


ひたすら静雄に身体を貪られ淫楽に溺れながら、思う。

喧嘩相手じゃない。
欲求不満だからじゃない。

恋人、だから、って
言ってよ、ねぇ

やっぱり、違うんだろう。
俺は、この先もずっと、片想いなんだろう。
シズちゃんに依存したまま、独りよがりな想いを抱えて。
…酷く、惨めだと思った。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ