リクエスト

□キスの理由。
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シズちゃんと身体の関係を持ったのは、いつからだっけ。

一人きりのベッドに沈みながら、ふと思い出す。
殴られて気を失って、気がついたら犯されていて。
それは、いつだったっけ。

隣を見ても、答えを知るたった二人のうちの一人は、いない。
もう一人は俺だから、解らない。

「なんで、こんな風になっちゃったんだろ…」

布団に残る彼の紫煙の匂いを肺一杯に吸い込んで、瞼を閉ざす。
彼と重ねた事の無い唇を指先でなぞると、痛みを堪えた跡か、歯型がついていた。



***

2週間。
池袋自動喧嘩人形は、素敵で無敵な情報屋さんに会っていない。
どうしてだか分からない。ただ、イライラする。

「2週間も溜め込んだままも久しぶりだからか…」

何となく重たい気がする下半身を抱えながら、静雄は自宅への道を歩いていた。


半年くらい前から、静雄の性欲の吐き出し口は臨也だった。
勿論、好きでもない奴と身体を重ねるのは好きじゃない。
でも、発端になった日、性欲を持て余していた。
臨也が気を失って、放っておこうかと思ったのだが、ふと見た顔にそそられてしまった。
少なくとも、彼は不細工とは形容しがたい好青年なのだ。
だから、ふと溜まった性欲を発散させる道具に選んでしまった。
…それだけだった。

それからは毎週、何のつもりだか臨也は池袋へ足繁く通うようになった。
だから俺も、その臨也と身体を重ねた。
確かに、奴と肉交を交わすことに抵抗は無く、寧ろ気持ちよかった。
慣れていくにつれて感度が良くなるくせに、初々しさの抜けない体の反応は、嫌にそそられて。
それに、コイツならよっぽど壊れない。壊れても、俺が得をするだけ。
いくら酷くしても次に会うときにはケロッとしていて、俺が捨てない限り、この関係が続くと思っていた。
なのに。


「何でいねぇんだよ…」

まさか、2週間も姿を見せないなんて。

臨也が居ようが居まいが、いつも通りに時間を進める池袋。
そのなんら変わりない街に、やっぱり何処か違和感を覚えながら、静雄はその街を闊歩する。

ああ、イライラする。




***
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