リクエスト

□片恋交響曲
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静雄の腰使いが段々と激しくなり、それに伴うかのように、臨也の唇から零れる嬌声は甘ったるさを増す。
見ているだけ、なのに。
自分までも腹の奥が疼き、妙にやるせない気持ちになった。

「シズちゃん…っだめ、イクっ…」

震えた甘い響きの声が告げた台詞に、真広はびくりと身体を震わせた。
静雄の上擦った声が紡がれる。

「一緒にイくぞ…」

一定感覚に響くベッドのスプリングが軋む音が僅かに早くなり、臨也の嬌声が娼婦のように甲高く上がった。
淫猥な喘ぎ声から耳は離れず、真広は扉の前でへたり込んだ。

「イク、出る、あっ…ぁああ!」

耳に響く、甘ったるい嬌声。
静雄に唇を捕らえられ、整わない呼吸のまま、臨也は最愛の静雄のキスに酔いしれていた。


「気持ちよかったよ、シズちゃん」

赤く上気した頬のまま、臨也は静雄へ笑いかけた。
ああ、と返事をして静雄も微笑み返し、
真広はまだぐるぐるする頭の中で、やっぱり二人の間には入れないと悟った。

漸く気持ちに余裕が出来たのか動けるようになった真広は、
いい加減部屋へ帰ろう、と立ち上がり、踵を返した時だった。


「これでどうだ?真広」


背後から唐突に響いた偉そうな声に、真広は跳ね上がった。
そんな、まさか。
恐る恐る振り返れば、
予想通り、偉そうな笑みを満面に湛えた静雄の姿。

「え、真広!?」

静雄の後ろから、臨也の焦って裏返った声が聞こえてきた。



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