リクエスト
□You Are Narcotic!
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「ねぇ、本気、なの?」
臨也の、焦ったような、それでいて困惑したような声音に、
静雄は正直虚を突かれた気持ちになりながら、「本気だ」と答えた。
付き合って2ヶ月と少し。
変わらず喧嘩を繰り返しながら、互いの家を訪ねては意味も無く二人で過ごしたり、しても可愛いキスまで、
と、恋人としては希薄な関係を保っていた。
静雄としては、ずっと、
臨也の白い肌、眩しい漆黒の髪、苺のような赤い唇に、
触れたくて、触れたくて。
ついさっき初めて、臨也にディープキスをした。
絡まる唾液の音。柔らかい舌の感触。熱い吐息。
まるで誘われるように、唇を離すと同時に、
腰掛けていたベッドに、その痩身を押し倒した。
…そして、先刻の会話に至る。
「は、早くない?2ヶ月…だよ?」
焦ったような臨也の様子に、静雄は気がついた。
その反応に、まさか、とは思っていたけれど。
「臨也、童貞なのか?」
静雄の露骨な問い掛けに臨也の眉根が寄って、眉間に皺を作る。
それでも、その頬は僅かに赤く染まり、躊躇ったように小さく頷かれた。
「言い方、最悪」
呻かれた言葉を気にする事も無く、
静雄は思ったままに口を開く。
「手前なら相手なんか選び放題なのにな」
「…それは尊敬?嫌味?」
「いや、別に」
嫌悪を滲ませて言う臨也だが、深く考えていなかった静雄はそう答える。
全く考えていなかった訳ではないのだが、
外見は眉目秀麗だから、なんて言えば、冷たい目が返って来るに違いない。
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