five days in mirror

□Only Day
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開いた掌には、銀色の光を宿す輪がひとつ。
どっきん。胸が一瞬にして激しく跳ね上がった。

「これ…っ」

「…もらっとけ、ノミ蟲」

顔を背けたまま照れ隠しに言う静雄の顔は真っ赤で。
臨也は口を閉じ、それから指輪へ視線を落とす。

「俺、シズちゃんにあげれるものなんて何も用意してないよ?取り合えずにも、こんな高価なもの…」

「…手前の誕生日だろ、もらっとけ。今まで飴だけだったし、よ……」

ぶっきらぼうに言いながら、一番言いたかった言葉を言えない自分に苛々した。
あと一息。少しの勇気があれば、言えるのに。
ただのプレゼントなんかじゃないと。もっと先の先まで誓う証だと。

すると、臨也は伸ばした手で静雄の服の裾を、くい、と引っ張った。高鳴る胸には毒で、更に緊張して肩が跳ねてしまう。
何だよ、と乱暴に言えば、臨也のおずおずとした声が耳に届いた。

「…シズちゃんが、付けてよ」

「あ!?何でそんなこと…っ」

「シズちゃんが、くれるんだろ…っ」

臨也の声からも、緊張が伝わってきた。
真意に気づいているにしてもいないにしても、臨也も緊張しているのなら悪くはない。
高鳴る胸に静まれと念じながら、仕方なく振り返れば真っ赤な顔を隠すように俯く臨也の姿があって。

耳まで真っ赤じゃねぇか…見てるこっちが恥ずかしいだろ…。
そんなことを思いながら、差し出された手を取った。
素直に出された左手が嬉しくて。何処に付ける?何処に付けて欲しい?胸がばくばくと煩い。

静雄は、手にとった指輪を、右から2番目、薬指にゆっくりと嵌めた。
臨也を見れば、下唇を噛んで静雄を見つめる顔があって。
僅かに潤んだ瞳。はにかんだまま、にこ、と微笑んだ頬。

ああ、やっぱり、自分にはこいつしかいないんだ。

伸ばした腕で、臨也の肩を抱き締めた。
何いきなり、と焦ったように紡がれた声。それすらも抱くように、強く、強く。


「…結婚、しよう」


伝わってくる鼓動が、早くなる。同じように跳ね上がってる自身の鼓動も、溶け合うようで心地好い。
震え始めた肩は、涙を孕んだ声で言う。
幸せだ、と心から思えた。


「――はい…っ」






(ねぇ、シズちゃん、あの二人も幸せになったのかな?)

(さぁな…なってるだろ、多分。)

(そうだよね、きっと。
多分俺は、どの世界でもシズちゃんに幸せにしてもらえるように出来てるから)

(馬鹿か。
――幸せにしてやるよ。一生、な。)

END
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