five days in mirror

□Only Day
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「んー…やっぱり所々被ってるんだね」

そう言った臨也は、思案したように瞬きを数度し、それから静雄を見た。
僅かに赤く染まった頬は可愛いが、何を考えているやら、堪ったもんじゃない。
臨也は、に、とやたら楽しそうに笑った。

「シズちゃんの言い方からすると、入れかわる前から俺のこと好きだったの?」

「…っ」

図星。まさにそれ。
本当に?いつから?と矢継ぎ早に問いかけてくる臨也の頭を軽く叩けば、ごつん、と鈍い音が鳴り、臨也は酷いな、と毒づいた。
…まぁ、言って何が変わるわけでも無いのだ。減るものでもないのだし。

「手前と初めて喧嘩した時から、気になってたんだよ」

「……え」

心底不審そうな顔をした臨也が気に喰わず、睨み付けるような視線を送る。

「俺は、初めて手前を見た時から綺麗な奴だなって思ってたんだよ、知らねぇだろ」

「し…っ、知るわけないだろ…!」

かぁ、と赤くなった頬は可愛くて。初めて胸が高鳴った時はまだ少し幼かった顔も、今ではもう大人びている。自分も同じように大人になれているのだろうか。
臨也は、その赤い顔を背けながら、小さく呟く。

「…俺は、いつからシズちゃん好きだったのか分かんないんだよね…
気づいたら…みたいな…」

怒る?と俯き気味に見上げてきた臨也。
その頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。わ、と声をあげた臨也は、尚も恥ずかしそうに静雄を見上げる。

「怒るわけねぇだろ、馬鹿か」

「はぁ?俺より遥かに馬鹿なシズちゃんに言われたくないよ」

相も変わらず毒舌な彼を睨み、それから溢れるままに笑った。

「結果的に今があるんだから、良いんじゃねぇのか?」

「……うん」

柔らかく微笑んだ彼の唇に優しくキスをして、それから二人で笑いあった。
どきん、どきん。甘くて苦しくなる鼓動が、深く胸に染み渡る。

「それと…手出せ」

「え?うん…」

顔を赤らめたまま素直に手を出してきた臨也。静雄は迷いながらも、ポケットに入ってるそれを手に取った。

「毎年恒例の飴?」

楽しそうな臨也の声を聞きながらも返事はせずに、静雄は握ったそれを臨也の掌に押し付け、無理矢理握らせる。
そこで臨也は、飴とは感触が違うことに気がついた。

「何?これ?」

「手開くな!家に帰ってからにしろ!」

「はぁ?どうしてそんなことしなきゃならないんだよ」

不貞腐れたように唇を尖らせた臨也は、勿論静雄の言うことを聞くこともなく手を開いた。合わせて、静雄は逃げるように臨也に背を向ける。


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