30万打小説
□愛慾淘汰
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「今度は一緒にイけるだろ、手前が先にイかなきゃ」
「…さいあく」
静雄の声に、臨也は小さく呟き返す。ふ、と笑った静雄など責められもせず、臨也は静雄の腰の動きに合わせてゆっくりと腰を揺らした。
いつもより荒い静雄の呼吸。直ぐに固く熱を持ちだした欲望の兆し。赤らみつつも整った快楽を貪る顔は、まるで獣のようで。
肌のぶつかる高い音と互いの荒い吐息、突き上げられるたびに先刻吐き出されたものが蜜のように流れ出る感覚、先刻より淫猥さを増した間断なく響く水音を耳に流しながら、臨也は静雄にすがる。
熱い。このまま、全てを淘汰されたまま、彼と繋がっていられたらいいのに。
爪先から、髪の先まで、彼のものになれたらいいのに。
「あ!ひゃんっ、ンあ…!〜〜ッあ!ふぁあ!め、れちゃう!はあ!まだ、やらっ、ア!んゃあっ」
「はっ…だ、からっ、んな、強く絞めたら、…きっつ…!」
――不可能だから、求め合うのかな。
一つになりたがるのかな。愛し合いたがるのかな。
「や、いくぅ、しず、ちゃん――っ」
「…っ、あ?何、だよ…」
「おく、が、いいっ…」
奥の奥、深くまで、君と繋がって、笑えたら。
きっと、それはそれで幸せだ。
「は、やっぱり、な。
――いくぞ、…ッ」
「ひァ――!!」
頭が真っ白になる。
身体の奥から込み上げる熱いほどの快楽に流されながら、痛いほどに静雄を感じた。
もっと刻み付けてよ、シズちゃんと繋がった証を、俺の記憶に。俺の身体に。
これからも、ずっとずっと。
内腿が突っ張る。張り裂けそうな下肢の感覚はひたすらに身体を震えさせ、臨也は甘い官能に呑まれていく。
呑まれて、呑み込んで、
貫いた熱が、臨也を沈めた。
「ッ――ン!」
「っ、ひゃっ、あああァ!」
静雄の欲望の塊は臨也の最奥へ、臨也のものは二人の腹の上で弾けた。
二人で荒い呼吸をして、それから唇を重ねると、微睡みのような優しさが臨也を包み込んだ。
好き。
囁けば、甘い唇が返される。
たまにはこんなのも、悪くないかも。
(今度は手前が媚薬試す番だな)
(…絶対に嫌)
END