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□CALL FOR ME.
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『やっぱり二人のドッペルゲンガーが居るんだ!!私はこの目で見た!!』
「まぁまぁ、落ち着いてよセルティ」
岸谷家では、1ヶ月前にも見覚えのあるような会話をしていた。
頭部のない首から揺れ動かしながら燻らす影は、セルティの動揺加減を上手い具合に表している。
誰よりも一般的な思考を持つセルティは、指を震わせながらPDAを打つ。
『今度は街中で抱き合ってたんだぞ!?
しかも、静雄に臨也のことを尋ねようとしたとき怒りもしなかったんだ!静雄も臨也を探していたようだったし…』
「で、その後は?」
『怖くて逃げてきた…。ほら、新羅、ドッペルゲンガーって、本人と会ったら本人が消えるとか言うだろ、だから本物の静雄と臨也を探したんだけどいなくて…
もしかしたらもう成り代わられてるのか!?』
震え上がるセルティの様子に全身から愛しさをみなぎらせながら、「だから、仲良しなんだよ」と最早無理のある説得をしながら、新羅は笑う。
――まぁ、流石に街中で抱き合われるのは予想外だったけれど。
「セルティ、いっそのこと、俺たちも抱き合ってキスしないか?」
『ふざけるな、私は真剣に困ってるのに!新羅の分からず屋!』
「え……そんな、幾ら自縄自縛だと分かっていても愛しいセルティにそんなことを言われたら、僕はもう自暴自棄の末半死半生のまま酔生夢死するしかないよ…」
『ごめんだけれど、新羅、意味が分からない…』
***
CALL ME.
(俺を呼んで。)
CALL FOR ME.
(俺を、もとめて。)
END