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□年下恋愛事情
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くちゅ、と艶かしい音が重なる唇から漏れる。そんな音が耳に届いて、更に羞恥を煽られ、頭まで響く鼓動が煩わしくて仕方がない。
…否、そうでも思っていなければ、口付けという行為に全てを持っていかれそうで。

「…んっ、ふぁ……うン…っは…」

静雄の舌は、臨也の唇を滑り、歯列をなぞり口腔を徐々に侵食していく。
その接吻に応えるようにおずおずと舌を絡め返せば、静雄は更に荒々しく臨也の口腔を蹂躙した。

どれ程唇を重ねていたのだろう。ようやく離した頃には、臨也は息を荒くしていた。
それに対し全く息の上がっていない静雄は、臨也の様子に笑った。馬鹿にしたようなものではなく、優しい優しい、愛おしむような瞳で。

「手前、もう高校生なんだから、少しは警戒しろ」

「…っは!?訳分からない…!」

焦る臨也を知ってか知らずか、静雄は口角をつり上げた。見たことのない、何処か色めかしい笑みに、どきりとした。
そんな静雄に唐突に顎をさらりと撫でられ、臨也は思わず後退る。
触れないで欲しい。だって。

「手前の好きがそう言うことなら、もう遠慮する必要もねぇよな?
今まで、手前をこんなオッサンが縛るのは良くないし、嫌われたくなかったから言ってこなかったけど。」

静雄から伸ばされた腕は、臨也の肩を掴むや否や身体を押し倒した。
床に縫い付けられた臨也は、恥ずかしいやら何やらでもう真っ赤になっている。

「…何となく、分かった。俺今シズちゃんに触りたくないから早く離して」

「…それは光栄だな」

勿論、人知を越えた怪力の彼を腕力で離すことなど出来るはずもない。
ひとつ、可愛らしいキスをされ、臨也は抵抗する気もなくなる。

「…オッサンを捨てるなよ」

「捨てないよ。――好きだから」

手を伸ばした静雄のシャツは暖かくて、抱かれた胸の中、高鳴る鼓動を聞いた。


触りたい。でも恥ずかしい。
…そして何より、愛しいから、触れられていると妙な気でも起こしてしまいそうで。

ああ、でも愛しさを孕んだその腕に安心するのは、8年前と何一つ変わらない優しさが、確かにここにあるからだろうね。






END
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